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  • 2021.05.27
  • コラム

保育園のカリキュラムの作り方、書き方とは?期間ごとの注意点についても解説!

保育園 プラン

保育園では年間の行事や日々の教育に関して、カリキュラムがしっかりと作成されます。カリキュラムによって、子どもの学ぶ力や人とのかかわり方を育成することができます。

だからこそ保育園の運営をする場合には、カリキュラムを用意しなくてはなりません。保護者もカリキュラムを参考に園を選ぶこともあります。

この記事では、保育園で使われるカリキュラムのメリットや作成方法について紹介します。

保育園のカリキュラムとは?

カリキュラムとは、保育園の教育課程における全体的な計画を指します。

保育園のような公的教育機関で幼児教育が行われる場合、入園から修了までに子どもが身に付ける経験と道筋を定めなくてはなりません。この計画をカリキュラムと呼ぶのです。

また、カリキュラムによる教育は一斉保育という保育形態につながるので知っておきましょう。

一斉保育という保育形態

保育士が設定したカリキュラムを、子ども達みんなで実行する保育形態を「一斉保育」と呼びます。

保育には一斉保育と自由保育がありますが、自由保育では子どもの自発性を尊重し、子どもの興味や関心を元に保育内容を決定します。

一斉保育とは自由保育と対照的な保育法で、保育士が明確な指導目標を掲げてカリキュラムを作り、それに従って保育に取り組みます。

一斉保育のメリット

一斉保育には、以下のメリットがあります。

  • 活動の目標が明確なため、指導がしやすい
  • 多くの子どもと同じ活動をするため個人の成長が見えやすい
  • 協調性の意識が芽生える

一斉保育は保育士がその時に必要な課題を設定するため、目標や目的が明確です。保育士自身が指導しやすいうえ、子ども一人ひとりの成長が見えやすいという特徴があります。

また、子どもにとっては、ルールの理解や協調性や忍耐力が身につきやすいというメリットがあります。みんなで同じカリキュラムを実施するので、子ども達全員が平等にさまざまな経験ができ、機会損失がないのもよいポイントといえます。

デメリット

一斉保育のデメリットとしては、下記の2点が挙げられます。

  • 自主性を育みにくい
  • 自由な発想に欠けてしまう

保育士が決めたカリキュラムを中心にこなす一斉保育では、自分で考えて行動するのに必要な自主性や自由な発想を育みにくいといわれています。また、子どもの個性に合わせて活動内容を変えられないため、それぞれの子ども達が好きな遊び・得意な遊びをする時間が少なくなりがちです。

ただし、子どもの発達状況や成長段階には個人差があります。実際には、一日の中で一斉保育と自由保育を織り交ぜて保育が行われることも多く、一斉保育といえども自由が全くないわけではありません。

保育士には一斉保育と自由保育のそれぞれに意味があることを教え、子どもの個々の状況や個性に合わせた働きかけができるようにしましょう。

保育園のカリキュラムの作り方の流れ

保育園の計画

カリキュラムを作るのは慣れていなければ難しいかもしれません。特に保育園を開設しようと考えている人にとっては、カリキュラムを作るのはハードルが高いかもしれません。ここでは、カリキュラムを簡単に書くためのポイントを説明します。

カリキュラムの書き方やフォーマットは園によって異なってよいですが、カリキュラム自体は厚生労働省が定める保育所保育指針「保育所保育指針解説」に示された内容を元に作成しますので流れは同じです。初めてカリキュラムを作る方に対して、この流れを順を追って説明します。

年間目標を立てる

カリキュラムでは、まず園の年間指導案に目を通し、以下の項目に関する年間目標を立てます。

  • 子どもの姿
  • ねらい
  • 内容
  • 環境構成
  • 援助・配慮
  • 家庭・地域との連携
  • 行事

この年間目標を1年でクリアできるよう、1年を1期(4〜5月)、2期(6〜8月)、3期(9〜12月)、4期(1〜3月)に分けて同じ項目ごとに目標を立てます。そしてこの目標を元に、以下の順で計画を立てていきます。

  • 月案
  • 週案
  • 日案

月案のような長期的な案は、1ヶ月後、1年後の子ども達の成長の着地点をイメージすると立てやすいです。

月案・週案・日案を作る

月案では園児の成長や季節を考えて具体的な計画を、週案では月案を参考に1週間ごとの計画を、日案では週案の内容を達成するために1日の保育を計画します。

期間別のカリキュラム作成の方法

カリキュラムの計画

ここでは、月・週・日という期間ごとのカリキュラム作成の注意点について、詳しく説明します。

月案の場合

年間目標を達成するため、1ヶ月ごとにカリキュラムを作成します。1ヶ月を1〜4週に分けて計画を立てます。

前の月の子どもの成長や発達を踏まえ、この1ヶ月にどのように成長させていきたいか、項目ごとに記入します。季節の変化も取り入れ、子ども達が前の週よりもステップアップできるよう内容を考えます。

週案の場合

月案を達成するために、1週間ごとの保育の計画を立てます。前の週の子どもの様子を考え、よりステップアップできるように月曜〜金曜(あるいは月曜〜土曜)の1週間でできる活動を計画します。

月案よりも細かく、子ども達の考えや行動に寄り添った計画を立てましょう。行事の予定は、天候を考慮することも忘れないでください。

日案の場合

週案を達成するために、その日にすべきことを詳しく計画します。週案で設定した内容を1日に落とし込み、詳しく書きます。

年間計画、月案、週案との違いは、登園から降園までの子どもの1日の生活を想定し、時系列で記入する点です。前日の子どもの様子を踏まえ、いつ何をすべきか考えて計画を立てます。

1日の計画ですから、子どもの著しい成長を期待するような大きな目標は立てられません。その日にすべきことを形にし、達成度を考えながら書きましょう。

スクルドアンドカンパニーの保育園運営、開園後のコンサルでは、企業主導型保育所や院内保育所のカリキュラムの作成についてもサポートしております。

カリキュラムを工夫することで他園と差別化ができ、入園希望者を確実に集めることができます。カリキュラムの計画に悩んだら、ぜひご相談ください。

スクルドアンドカンパニーの問い合わせ先
電話番号:03-6897-3893
メールフォームはこちら

カリキュラム作成の注意点

カリキュラムを作成するときには、以下のポイントに注意して作りましょう。

自園の特徴をしっかり把握する

カリキュラムを作成するときには、勤務する保育園の保育方針や教育の方向性を元に進めていきます。園の責任者であっても、自分勝手に内容を決めていいわけではありません。

カリキュラム作成は、保育園の保育方針に沿うことが重要です。

表現用語について知っておく

カリキュラムを作成する時によく使う用語や表現があります。用語の意味や表現のニュアンスの違いを理解しておくとカリキュラムが書きやすくなりますので、いくつか例を挙げます。

「ゆっくり」と「ゆったり」
「ゆっくり〜する」は、時間配分を多く設け、子どもが焦らないように指導するときに使います。
「ゆったり〜する」は、保育士が焦らずに子どもを援助する場合に使います。
「うながす」と「誘う」
「うながす」は、物事や活動に関心がない子どもが、自ら参加したくなるよう仕向けるときに使います。
「誘う」は、物事や活動に関心がない子どもを、保育士主導で参加させるときに使います。
「よろこんで」と「楽しく」
「よろこんで〜する」は、子ども自身が好きなことに進んで取り組んでいる様子を表現するときに使います。
「楽しく〜する」は、子どもが物事や活動に自分なりに喜びを発見している様子を表現するときに使います。
「意欲的に〜する」と「満足するまで〜する」
「意欲的に〜する」は、取り組むべきことに対して、子どもが積極的に深く関わっているときに使います。
「満足するまで〜する」は、子どもが「やりきった!」と達成感を感じるまで活動を行ったときに使います。

モンテッソーリメソッドの導入

園の保育方針や教育の方向性にマッチするなら、モンテッソーリメソッドをカリキュラムに導入してもいいでしょう。

モンテッソーリメソッドは、子どもには自分を自分で教育し育てる力があるという自己教育力に基づいた教育法です。能動的な行動や積極性、責任感と思いやりを持った自立的な人間を育てることを目的にしています。

医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリ博士が考案し、日本では多くの保育園や幼稚園で取り入れられています。最近では藤井翔太棋士が幼児期に受けた教育法として話題になりました。

モンテッソーリメソッドではさまざまな教具の中から選んだ、子どもが興味や関心があるものに沿って“おしごと”と呼ばれる活動をするというカリキュラムを作ります。一斉保育であっても全員が同じおしごとをする必要はなく、生活の中で自らおしごとに取り組む大切さを伝えることができます。

リトミックを意識

リトミックとは、音楽に楽しく触れながら体を動かし、子ども達が持つ潜在的な基礎能力の発達を促す教育法です。「情操教育」「音感教育」「生活習慣」の三位一体の指導システムにより、集中力や思考力、判断力、創造力、表現力、記憶力といった潜在的かつ基礎的な能力を養い、心と身体の調和を図ります。

スイスの作曲家で教育家のエミール・ジャック=ダルクローズ博士が考案し、日本はもちろん、世界の教育現場で取り入れられています。

全員が同じ音楽に触れて体を自由に動かすリトミックでは、友達と楽しさを分かち合うことができ、友情が芽生え、仲間との連帯感を意識できます。一斉保育ではカリキュラムに取り入れやすい教育法です。

幼児体育の導入

幼児体育は、楽しくわかりやすく安全に体育や運動遊びを子供に体験させる教育です。

多種多様な体の動きを経験し、心や脳や体を育て、柔軟性を高め、心拍機能の活動水準を高め、自ら考え行動する力を養えます。さらに、みんなで一緒に体を動かすため協調性が身につきます。

幼児体育指導者という資格があり、主に幼児から小学校低学年までの子どもを対象に全国の保育園・幼稚園・スポーツ施設等で教えています。資格を取った保育士や幼稚園教諭が、自園で幼児体育を実践しているケースもあります。

資格取得者を園に招いて、カリキュラムに導入してもいいでしょう。

言語発達促進も視野に入れる

0〜6歳の子どもが通う保育園では、言語発達促進もカリキュラムに取り入れるべき内容です。なかでも、絵本や紙芝居の読み聞かせ、ペープサートやパネルシアターをカリキュラムに取り入れることは言語発達促進に有効です。表現力が豊かになり、観察力や集中力アップにつながります。

日常生活の中で、保育士の子どもへの言葉かけや子どもと保育士との対話を重ねることはもちろん大切ですが、子ども達の知的好奇心を刺激しながら言語発達を促進できるカリキュラムを取り入れましょう。

カリキュラムの書き方のポイントは、他にいくつもあります。

幼稚園のカリキュラムと保育園の違い

未就学児が通う施設には、保育園と幼稚園があります。そもそも保育園と幼稚園では何が違うのでしょうか?

ここでは、施設の違いに触れつつ、保育園と幼稚園のカリキュラムの違いについて説明します。

保育園と幼稚園の違いは?

保育園と幼稚園の違いは以下のようなものがあります。

保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省が管轄しており、保育園は児童福祉施設、幼稚園は学校とされています。

保育園は保護者の就労等で保育の必要性がある子どものみが利用でき、幼稚園には利用制限がありません。対象年齢は、保育園は一般的に0〜5歳、幼稚園では3〜5歳です。

教育・保育時間にも違いがあります。保育園は8〜11時間ですが、幼稚園は4時間としている園が中心です。また、幼稚園は、送迎バスの用意や、夏休みや冬休みなどの長期休暇がある園が多いです。

カリキュラムの違いは?

幼児の子どもが通う保育園では、年齢や成長に応じてトイレや食事のトレーニングを保育士が行います。そのため、保育園のカリキュラムには、育児の観点で作成する面もあります。

一方の幼稚園では、文字の読み書きや運動などの教育に重点を置いてカリキュラムを作成しています。

とはいえ現状では、体操教室や英語教室を取り入れ教育に力を注ぐ保育園も数多くあります。カリキュラムの違いが保育園と幼稚園という施設の違いから生まれていると言い切ることはできません。

カリキュラムの違いは、園の方針によるところが大きいです。だからこそ、カリキュラムによって差別化ができると考えられます。

まとめ

保育園のカリキュラムは、勤務する保育園の保育方針や教育の方向性を確認し作成することが重要です。

年間目標の達成のため、年→4期→月→週→日の順でカリキュラムを作りましょう。さらに、モンテッソーリメソッドやリトミックのような教育法を取り入れるのもいいでしょう。

スクルドアンドカンパニーでは保育園運営と運営に関するコンサル業務を通じて、企業内保育や院内保育、通常保育園のカリキュラム作成およびカリキュラム作成のサポートをこれまで数多く実施しております。

カリキュラムの作成に悩んだら、ぜひ一度ご相談ください。専任のスタッフがサポートいたします。

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