コラム
- 2021.08.25
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小規模保育園を運営するメリットは?利用者のメリットと併せて紹介
小規模保育園とは、平成27年4月にスタートした「子ども・子育て支援新制度」事業の1つです。地域型保育事業の1種であり、地域から保育に求められる多様なニーズに対応するため、0〜2歳までの子どもを認可保育所よりも少ない定員で保育します。
この記事では小規模保育園を運営したい方に向けて、開設のメリットと利用者が感じているメリットを紹介します。いずれも運営に役立つ情報です。
小規模保育園とは
「小規模認可保育園」は、平成27年にスタートした子育て支援事業の1つです。
この事業が始まる以前は19名以下の保育施設は認可外保育所でしたが、「子ども・子育て支援法」の施行により小規模保育園は市区町村による「小規模認可保育所」という扱いになりました。
大きく変わったのは、小さなスペースでも開園できる保育園として制度化され、認可および財政支援を受けられるようになったことです。
小規模保育園は、0~2歳児を6~19名という少人数の定員で保育します。定員5名以下の家庭的保育事業と、定員20名以上の認可保育所の間となる位置づけです。地域における多様な保育ニーズに対応し、質の高い保育を提供します。
家庭のような環境下で少人数を対象にきめ細かな保育できるのが、小規模保育園の特徴です。子ども1人ひとりの生活リズムを大切に、保護者の子育てに寄り添いながら保育を実践します。医療的なケアが必要な子どもを積極的に受け入れている小規模保育園もあります。
小規模保育園にはA型、B型、C型があり、A型が一番規模が大きく、順に小さくなる。A型、B型、C型それぞれに認可基準があります。次の表を参考にしてください。
保育所 | 小規模保育事業A型 | 小規模保育事業B型 | 小規模保育事業C型 | |
---|---|---|---|---|
職員数 | 0歳児:3人あたり1人 1~2歳児 6:1 |
保育士の配置基準+1名 | 保育所の配置基準+1名 | 0〜2歳児:3人あたり1人(補助者を置く場合5人あたり2人) |
資格 | 保育士 ※保健師又は看護師の特例あり(1名まで) |
保育士 ※保育所と同様、保健師又は看護師の特例を設ける |
1/2以上保育士 ※保育所と同様、保健師又は看護師の特例を設ける ※保育士以外には研修を実施 |
家庭的保育者 ※市町村長が行う研修を終了した保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が求めるもの |
保育室等の設備・面積 | 0歳・1歳乳児室:1人当たり1.65㎡ ほふく室:1人あたり3.3㎡ 2歳以上は保育室等1人あがり1.98㎡ |
0歳・1歳児:1人あたり3.3㎡ 2歳児:1人上がり1.98㎡ |
0歳・1歳児:1人当たり3.3㎡ 2歳児:1人あがり1.98㎡ |
0〜2歳児:いずれも1人3㎡ |
給食 | 自園調理 ※公立は外部搬入可(特区) 料理室 調理員 |
自園調理 (連携施設等からの半融可能) 料理室 調理員 |
自園調理 (連携施設等からの半融可能) 料理室 調理員 |
自園調理 (連携施設等からの半融可能) 料理室 調理員 |
小規模保育園を開設するメリット

小規模保育園を開設するメリットは、以下のように8つあります。
1.短期間で開園できる
小規模保育園は、短期間で開園できるのがメリットです。
通常、認可保育園の設立には開園までに2年ほどかかりますが、小規模保育園なら6ヶ月ほどで開園できます。
2.小さなスペースでも開設できる
小規模保育園は、保育室等に園児1人あたりの開設基準があります。A型、B型の場合、0・1歳児は1人あたり3.3㎡、2歳児は1人あたり1.98㎡です。C型の場合0〜2歳児いずれも1人あたり3.3㎡の面積が必要です。
基準自体は地域の認可外保育所とほぼ同じですが、保育できる人数の上限は6~19人と少ないため、小さなスペースでも開設できます。
3.人件費を抑えられる
小規模保育園では人件費を抑えられます。小規模保育園では保育する子どもの人数が少ないため、保育士をはじめとした必要な職員の数はそう多くありません。職員が少なければ支払う給料も少ないため、人件費がかかりにくいのです。
また、「小規模認可保育所」は認可保育所のため、補助金をもらえます。園が小規模なため施設の維持費や改修が低コストなので、運営が軌道に乗れば補助金を人件費に充てやすくなります。給与面の待遇がよくなれば、保育スタッフが定着しやすくなります。
公的な資金援助の対象となったことは非常に大きなメリットといえるでしょう。
4.柔軟な運営が可能
小規模保育事業では、柔軟な運営が可能です。運営する企業の業務特性はもちろん、保護者の働き方や生活スタイルに合わせた柔軟なサービスを提供できます。
小規模保育事業は、地域の特性を活かした多様性と柔軟性による使い勝手の良さ、質が確保された保育を提供し、安心して預けられる保育をコンセプトとしてスタートしています。そのため、基準などが比較的ゆるく、柔軟な運営がしやすいのです。
5.園児の募集を自らしなくていい
小規模保育園は認可保育園のため、自治体が申し込みの窓口となります。そのため、園が自ら園児を募集しなくてもいいという利点があります。
各家庭の保育の必要度に応じて保育の認定を自治体がしたうえで、ほかの認定保育園と調整し入園する園児の振り分けをしてくれます。
また、小規模認可保育園は定員が6〜19名と少ないため、開園当初から定員基準を満たせる可能性が非常に高いです。
6.認可保育園なので社会的信用度が高い
小規模保育園は自治体から認可された保育園ですから、社会的信用度が高いです。自治体が勧める、定められた基準や条件をクリアした保育園ですから、保護者からの満足度も高いのです。
通常の認可保育園に比べて園児の人数が少ないため、きめ細かい保育を実践しやすいことも、保護者からの信頼につながっています。また、社会的信用度が高いことは金融機関からの融資にも影響してきます。
7.補助金を受けられる
小規模保育事業所の整備にあたり、厚生労働省では平成27年度の補正予算から「保育所等整備交付金」を追加しました。小規模保育事業所の新設、修理、改造といった建物の整備を行う場合に受けられる交付金です。
「切れ目のない保育のための対策」として、保育対策総合支援事業費補助金の各種改修費事業を「保育所等改修費等支援事業」に一本化し、改修費支援の補助金の基準額を3,200万円に引き上げています。
このような補助金を受けられるというのも大きなメリットでしょう。
8.金融機関からの融資を受けやすい
小規模保育園では金融機関からの融資を受けやすいのもメリットです。独立行政法人福祉医療機構では、小規模保育事業を行う事業者に対して、80%の融資率で貸付をしています。
条件によりますが、償還期間は最長で20年以内です。融資の際には担保が必要ですが、保証人不要制度も利用できます。
小規模保育園のメリットについて解説していきましたが、こういったメリットを活かすためには運営や開設、補助金などのノウハウが重要になります。
小規模保育園の開設・運営についてスクルドアンドカンパニーは豊富な実績があります。保育園運営、開園後のコンサルでは、開園から助成金の申請、運営までフルサポートしております。小規模保育園をスムーズに設立したい方はぜひご相談ください。
小規模保育園のデメリット

次に、小規模保育園のデメリットを挙げて紹介します。
対象は2歳まで
保育できるのは0~2歳なので、3歳からは別の園に預けてもらうことになります。この年齢制限は園児を募集する際、運営事業者にとって唯一ネックになる点です。
保護者は子どもが3歳からは別の園を探さねばならず、兄弟がいる場合には一時的に2つの園への送迎や行事の参加を強いられることになります。
それを避けるために小規模保育園を避ける人がいるかもしれません。
設置場所を選ばねばならない
小規模保育園は園庭や屋外遊具がないなど、大型保育園に比べ設備面で劣るのはたしかです。だからこそ、園の運営者は近隣に園庭代わりに利用できる公園などがある場所を選んで、小規模保育園を設置しなければばなりません。
その際、移動距離が長くなるほど事故などのリスクが高まるため、事業者はそのあたりを加味して設置場所を選定せねばなりません。
スタッフによって園の雰囲気が変わる
小規模保育園は保育スタッフの配置数が多く、保育スタッフと園児、保護者の距離が近いため、スタッフ同士の人間関係や雰囲気が保育に大きく影響します。雰囲気がよければいいけれど、悪い方に転じる可能性もあります。
事業者は採用の段階で、園長として採用する人や保育スタッフの人柄や園の雰囲気を見極めなければなりません。
ノウハウが必要
園の運営方法やカリキュラムや保育プログラムの作成については、ノウハウが必要になります。
子どもの安全を守り、保護者と信頼関係を保ちながら園を存続させるためにすべきリスクマネジメントも非常に重要です。
学校法人や社会福祉法人、社内に福祉部門がある企業では、積み重ねてきた事業のノウハウを活かせば小規模保育園の運営をスムーズに始められるでしょう。園の運営には園長をはじめとした保育スタッフのスキルが大きく影響するため、運営の中心となる人材の確保も重要です。
カリキュラムの作成のポイントは以下の記事で解説しています。
まとめ
認定保育園である小規模保育園は短期間で開園できるうえ、運営上のメリットが非常に多くあります。
ただし、小規模保育園は補助金で運営されるため、簡単に認可が下りるわけではありません。小規模保育園をスムーズに開設し安定した運営をしたいなら、専門知識があり適確なアドバイスを受けられるコンサルタントを利用するのがおすすめです。
スクルドアンドカンパニーの保育園運営、開園後のコンサルでは、小規模保育園の認定から開園、補助金の申請、運営までをフルサポートしております。待機児童解消のため期待されている小規模保育園事業に取り組みたいなら、ぜひ相談ください。