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  • 2021.09.28
  • コラム

無認可保育園が得られる補助金を徹底解説!事例なども紹介

補助金の役所

働き方の多様化や女性の躍進が進む現代社会では、企業や病院内に保育施設が設置されることが増えています。こうした形態の保育園は、国や自治体などの認可を得ずに運営している場合が多いです。こういった保育施設は無認可で運営するため、「無認可保育園」「認可外保育施設」と呼ばれます。

無認可保育園は国の認可を得ていない保育施設ですが、無認可保育園の中には事業所内保育施設や院内保育施設のように国からの補助金を受けられる保育園があります。

この記事では、無認可保育園を経営する際に得られる補助金について詳しく解説します。

無認可保育園とは?

保育園は大きく分けて2種類あります。

  • 無認可保育園(認可外保育所)
  • 認可保育所

まずはこの2つの違いについて説明します。

無認可保育園(認可外保育所)

認可外保育園は、国や自治体からの認可を受けていない保育施設のこと。開設にあたり基準はありますが、認可保育所に比べると緩やかです。

無認可保育園は、認可保育所のように国が定める基準項目を全てクリアしていなくても運営できるため、運営の自由度が高いのが特徴です。そのため、企業主導型保育施設や院内保育所の多くが認可外保育所を選んで設置しています。無認可保育園は以下のようなものです。

  • 企業主導型保育所
  • 事業所内保育施設
  • 企業主導型保育所
  • 院内保育所
  • ベビーホテル

このような無認可保育園では、補助金の給付はほぼありません。

認可保育所

認可保育所は、国や自治体に認可された保育施設です。国が定める設置基準で運営する保育施設のうち、都道府県知事の認可を得て運営しています。認可保育所は、施設の広さ、保育士の数、調理・防災・衛生管理など、国や自治体が設けた認定基準をクリアしています。

クリアしなければならない項目数が多いため、認可保育所を開設するのはハードルが高いですが、国や自治体から補助金が出るというメリットがあります。補助金の申請は厚生労働省に行います。認可保育所は以下の事業などが該当します。

  • 小規模保育事業
  • 家庭的保育事業
  • 事業所内保育事業
  • 居宅訪問型保育事業

無認可保育園への補助金

補助金

無認可保育園には基本的に補助金は出ませんが、無認可保育園のうち事業所内保育所と院内保育所には設備費や運営費に対して補助金が出ます。また、各自治体などで独自の補助金を制定しているところもあります。

無認可保育園には補助金の支給がある自治体もありますが、補助金支給の対象や要件、金額は自治体によって異なるため、無認可保育園を設置する自治体に補助金の有無と内容について確認すべきです。

ここでは、無認可保育園へ補助金を支給している自治体と補助の内容について、例を上げていくつか紹介します。

自治体による補助金例

さまざまな自治体で、無認可保育園への補助金を支給しています。ここでは、神奈川県横浜市、神奈川県逗子市、静岡県静岡市の3つの自治体が無認可保育園に支給している補助金について紹介します。

神奈川県横浜市

神奈川県横浜市では認可外保育施設助成事業として、入所児童の処遇向上を図ることを目的とした補助金を交付しています。

給付の対象となるのは、無認可保育園の保菌検査、施設所有・管理者賠償責任保険加入、入所児童の健康診断受診費用およびブレスチェックセンサー導入にかかる費用についてです。

対象となる施設は、横浜市に所在し、適正な届出を行っている施設または横浜保育室事業実施要綱に基づく認定を受けている施設で、子ども・子育て支援法第59条の2に規定する運営費助成と、この要綱による助成対象経費を含む助成を国・県・その他公益法人等から受けていないことなどが求められます。

神奈川県逗子市

神奈川県逗子市では、認可外保育施設運営支援事業(A型)として、無認可保育園と幼稚園に補助金を交付しています。

待機児童の解消を目的とし、交付要綱に記載の基準を全て満たす無認可保育園に対して、運営に要する費用の一部を補助しています。職員の配置条件を満たせば、児童1人あたりの補助基準月額が支給されます。

対象となるのは、事業開始後5年以内に認可保育所または認定こども園への移行を希望する施設です。認可化移行計画の策定と、神奈川県安心こども交付金事業費補助金交付要綱認可外保育施設運営支援事業実施要領第4の5の(1)により、県の承認を受けていることなどが求められます。

静岡県静岡市

静岡県静岡市では、設置届の提出から3年経過している無認可保育園に対して補助金を交付しています。施設の維持管理事業として施設割、保育内容を高めるための研修事業に使用する職員研修費、対象児童に対する適切な保育を行うための事業割の区分が対象です。

対象となる施設は、認可外保育施設指導者監督基準に適合し証明書を交付されている施設で、1日の平均保育時間が概ね8時間以上であること、保育内容が幼稚園の教育内容に類していないこと、月20日以上保育される子どもが4月1日時点で6名以上在籍することなどが求められます。

このように、補助金の無認可保育園に対して補助金を支給している自治体は少なくありません。補助金の支給がある場合でも自治体によって補助金交付の要件や対象となる費用が大きく異なりますから、補助金の有無や内容について、無認可保育園を設置する自治体に確認すべきです。

企業主導型保育所の補助金

以前は、企業主導型保育施設に対して補助金がありました。無認可保育園でありながら、設備費助成金と運営費助成金の2つの補助金の交付を受けられたのです。

しかし、企業主導型保育所への補助金の応募は既に締め切られており、今後再募集があるかも不明です。

事業所内保育施設の補助金

事業者内保育施設には、設置費、運営費、増築費の3つについて、補助金の助成があります。事業所内保育施設は、乳幼児の定員が10人以上、1人あたりの面積が原則として7㎡以上あり、構造や設備、設置場所が要件を満たしている施設が補助金交付の対象となります。

設置費は、大企業で全体の1/3(上限1,500万円)、中小企業で全体の2/3(上限2,300万円)が補助されます。設置費とは、新築、購入、既存の所有建物の増改築、賃借した建物の増改築のいずれかによって新たに事業所内保育施設を設置する際の費用が対象です。

運営費に関しては、大企業で職員1人あたり年額34万円(上限1,360万円)、中小企業で職員1人あたり年額45万円(上限1,800万円)が助成されます。事業所内保育施設に設置された専任の保育士、看護師の人件費が対象です。運営を別の企業に委託している場合は、委託料のうち、専任の保育士または看護士の人件費が対象となります。

企業主導型保育所との違いは、増築費の助成があることです。大企業で全体の1/3(上限は増築750万円、建替え1,500万円)、中小企業で全体の2/3(上限は増築1,150万円、建替え2,300万円)が補助されます。企業主導型保育所では増築費の助成は基本的にありませんので、事業所内保育施設にとっては大きなメリットといえるでしょう。

病院内保育施設の補助金

病院内保育施設には、保育士の人件及び委託料(人件費相当分のみ)と、病院内保育施設を新設する際に必要な新築・増改築等に要する工事費等について、補助金の助成があります。

人件費への補助基準は、保育児童と保育士等職員の人数、保育時間、月額保育料を元に補助基準が定められています。この補助基準を元に、補助金の金額を算定します。24時間保育や緊急一時保育、病児保育等の実施は加算項目となり、各項目の1日あたりの加算額×運営日数が補助金に加算されます。

新築・増改築等に要する工事費等については、収容定員(30名を限度)×5㎡に基準単価である148,300円/㎡を乗じた金額のうち、補助率を基にした金額が補助されます。

無認可保育園で補助金を得るための手続きとは?

補助金の手続き

無認可保育園を経営する際、補助金を得るための手続きはどのように進めればよいでしょうか。ここでは、必要な書類、提出先など手続きについて解説します。

事業所内保育施設の補助金申請の手続き

申請の手続きは、各都道府県の労働局雇用均等室への問合せから始まります。相談の受理と助言を経て、提出書類の準備に入ります。書類の提出期間は定められているので、しっかり確認し厳守しましょう。

設置費、運営費または増築費、保育遊具等購入費のいずれも、認定申請書の受理、審査を通じて認定が決定し、支給申請書の受理、審査、建築士査定を終えてから支給が決定します。

設置費・運営費または増築費の場合、設置・運営計画または増築(増築・建替え)計画の認定申請を提出後、認定決定日の翌日から1年以内に事業所内保育施設設置・運営開始または運営再開します。その後、設置費または増築費支給申請をします。

運営費の場合、運営計画認定申請を提出後、事業所内保育施設の運営を開始します。その後、運営費支給申請を提出します。保育遊具等購入費の場合、当該期間に保育遊具等を購入し、保育遊具等購入費支給申請を提出します。

病院内保育施設の補助金申請の手続き

申請の手続きは、自治体の保育支援の窓口にします。東京都の例を挙げると、例年のスケジュールは次の通りです。

  • 2月頃:意向調査(翌年度補助金を受ける意向の有無を回答)
  • 7月頃: 所要額調査(当該年度の事業計画を回答)
  • 1月頃:交付申請
  • 3月頃:交付決定(補助金の支出)
  • 4月上旬:実績報告
  • 5月上旬:額の確定(補助金の返還)
  • 9月頃:消費税仕入控除税額報告

上記の日程は見込みであり前後する可能性がありますが、東京都ではこのようなスケジュールで申請から報告まで進んでいきます。

まとめ

無認可保育園であっても、企業主導型保育所、事業所内保育施設として開設すれば、国や自治体から開設や運営に関する補助金が出るため、新規設立から運営にいたるまでのコスト面でのハードルが下がります。

スクルドアンドカンパニーの保育園運営、開園後のコンサルでは、保育園の開園準備から運営までフルサポートしております。補助金申請のアドバイスもしておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

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