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  • 2021.10.29
  • コラム

地域型保育事業とは?その意味・メリット・開始までの流れを紹介

地域型保育事業

「地域型保育事業」とは、子ども・子育て支援新制度に含まれる市町村の認可保育事業です。今、国や自治体は少子化や子育て家庭の孤立化、待機児童などの問題を解消するため、子どもや子育て家庭の支援を強化しています。

もし保育園を作りたいと考えている事業主の方などは、地域型保育事業として申請することで、より負担少なく保育園を作れるかもしれません。

この記事では、地域型保育事業の目的や事業内容を説明するとともに、企業が保育施設を開設する際に必要な認可基準について詳しく解説します。

地域型保育事業とは?

地域型保育事業とは、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」の中にある政策のひとつです。地域型保育事業の概要と対象、実施主体について解説します。

地域型保育事業の意味

地域型保育事業とは、小規模保育事業や家庭的保育事業、事業所内保育事業などのような1人~19人程度の小規模の保育事業に対して、市町村による認可事業として多様な施設や事業の中から利用者が選択できる仕組みです。

その目的は、地域が抱えているあらゆる保育ニーズに細かく対応していくことです。市町村などの自治体が給付金や補助金を出すことで、待機児童の解消を図り、人口減少地域では地域の子育て支援機能を維持・確保することを目指します。

対象

子どもの対象年齢は0~2歳児であり、この年齢は待機児童の大半を占めます。

保育が必要な子どもがいる家庭はもちろん、全ての家庭を対象とした多様な子育て支援の充実を図っています。

少子化地域でも保育基盤を維持できるよう、家庭的保育に近い雰囲気での保育サービスの提供を目指しています。

実施主体

地域型保育事業は自治体が実施主体です。そのため、企業が本制度を利用して保育施設を開設するには、保育所を設置する市町村の認可を受ける必要があります。

自治体は施設の募集から審査、補助金の手続きを担い、原則として年1回、児童福祉法第34条に定められた基準を遵守しているか監査します。

自治体によっては、国よりも厳しい独自の基準で審査・監査基準を設けています。

地域型保育事業のメリット

補助金

保育事業への参入を考えている企業の視点から、地域型保育事業のメリットを紹介します。

保育ビジネスへの参入ハードルが下がる

地域型保育事業によって、企業の保育ビジネスへの参入ハードルが下がります。かつては、大都市での敷地確保やへき地での保育士採用などが大きな障壁になっており、保育ビジネスへの参入のハードルが高い状態でした。しかし、地域型保育事業によって、企業や個人は多様なスペースを活用して保育を提供できるようになりました。

さらに、地域型保育事業では、すでに認可外保育施設として稼働している運営主体も認可保育施設に移行できます。新規参入であっても自治体の認可事業のため、金融機関の融資を受けやすいのが特徴です。

園児募集も自治体が主体となって行うため、広告宣伝費など抑えられ、従来よりも参入のハードルが下がります。

補助金が受給できる

地域型保育事業は認可事業のため、自治体の補助金を受給できます。さらに、保育施設の誘致に積極的な自治体は、独自の補助金や支援金を充実させています。

こういった制度を活用することで保育施設の運営を安定させられ、保育士採用や設備投資、保育の質を保つことができます。

補助金事例1.保育所等整備交付金

保育所等整備交付金とは、保育園の新設・修理・改造・整備にかかる経費や防音壁の整備、防犯対策の強化にかかる費用の一部を補助するものです。

以下は定員20名以下、1施設当たりの交付基準額を抜粋した表です。このような補助金が得られるのです。

項目 標準(都市部以外) 都市部(人口密度が1000人/K㎡以上)
本体工事費 72,700千円 80,000千円
地域の余裕スペース活用促進加算 2,330千円 2,570千円
特殊付帯工事 11,020千円
設計料加算 本体工事費に係る交付基準額の5%
開設準備費加算 37千円
土地借料加算 16,100千円

参考:関東信越厚生局「保育所等整備交付金交付要綱(令和3年7月6日改正)」

補助金事例2.保育対策総合支援事業費補助金

保育対策総合支援事業費補助金とは、保育施設が認可保育所等の設備運営基準を満たすために必要な改修費等の一部を補助するものです。

項目 通常 緊急対策参加市区町村 待機児童対策協議会に参加する等一定の要件を満たす市区町村
賃貸物件による保育所等改修費等支援事業 15,000千円 20,000千円 23,000千円
小規模保育改修費等支援事業 22,000千円 32,000千円 35,000千円
家庭的保育改修等支援事業 22,000千円 32,000千円 35,000千円
保育体制強化事業 1カ所当たり月額100千円(園外活動時の見守り等にも取り組む場合は月額150千円)
保育所等におけるICT化推進事業 業務のICT化を行うためのシステム導入 1施設当たり1,000千円
翻訳機等の購入 1施設当たり150千円

参考:厚生労働省「保育対策総合支援事業補助金メニュー」

地域型保育事業は補助金など運営上のメリットが多く、小規模園のため短期間で開業できます。ただ、手続きは複雑ですし、専門的な知識も必要です。

スクルドアンドカンパニーは、地域型保育事業の開設サポート、委託運営実績が豊富です。開業サポートや補助金申請などのノウハウがありますので、お気軽にお問い合わせください。

スクルドアンドカンパニーの問い合わせ先
電話番号:03-6273-2760
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地域型保育事業の事業形態4つとその特徴

地域型保育事業の特徴

地域型保育事業は「小規模保育事業」「家庭的保育事業」「事業所内保育事業」「居宅訪問型保育事業」の4つに分類され、それぞれ基準が異なります。

1.小規模保育事業

小規模保育事業は、定員6人以上19人以下の保育事業です。保育士の配置比率等により、3種類(A型、B型、C型)の認可基準が設けられています。定員20名以上の認可保育施設と比較すると、施設の準備や認可までの時間は短くて済みます。

国が定める配置基準をベースに、小規模保育事業の職員数、職員資格等の基準を紹介します。

国の配置基準

子どもの年齢 子どもの人数 保育士の人数
0歳児 3人 1人
1~2歳児 6人 1人

※子どもが1人以上いる場合は、常時保育士2人必要。

出典:厚生労働省「児童福祉施設最低基準」

小規模保育事業A型、B型、C型の基準

小規模保育事業 職員数 職員資格 保育室等 給食
A型 保育所の配置基準+1名 保育士
  • 0~1歳児:1人当たり3.3㎡
  • 2歳児:1人当たり1.98㎡
  • 自園調理(連携施設等からの搬入可)
  • 調理設備
  • 調理員
B型 保育所の配置基準+1名
  • 1/2以上が保育士
  • 保健師や看護師を保育士とみなす特例あり
  • 保育士以外には研修を実施
C型 0~2歳児 3:1(補助者を置く場合 は5:2) 家庭的保育者 0~2歳児:1人当たり3.3㎡

出典:内閣府「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け」

2.家庭的保育事業

家庭的保育事業は、定員1人以上5人以下の保育事業です。家庭的な雰囲気の保育が特徴であり、家庭的保育者1人につき3人の子どもまで預かることができます。

施設は家庭的保育者の自宅など、さまざまなスペースを利用することが認められています。家庭保育者は保育士資格がなくても従事できますが、自治体が指定した研修の終了が必要です。

職員数 職員資格 保育室等 給食
0~2歳児 3:1(家庭的保育補助者を置く場合 5:2) 家庭的保育者(+家庭的保育補助者) 0~2歳児:1人当たり3.3㎡ 自園調理(連携施設等からの搬入可)

出典:内閣府「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け」

3.事業所内保育事業

事業所内保育事業とは、従業員の子どもを保育するために、企業が主体となって保育を提供することです。

従業員の子どもだけではなく、地域の子どもも地域枠として受け入れることが義務付けられています。設置場所は事業所の敷地内や近接地、通勤経路の途中にあるテナントなどです。

定員が19人以下の場合は小規模保育事業と同様、20人以上の場合は認可保育所と同様の認可基準となります。

定員 職員数 職員資格 保育室等 給食
20名以上 保育所の配置基準+1名 保育士
  • 0~1歳児:1人当たり3.3㎡
  • 2歳児:1人当たり1.98㎡
自園調理(連携施設等からの搬入可)
19名以下 保育所の配置基準+1名 保育士
  • 1/2以上が保育士
  • 保健師や看護師を保育士とみなす特例あり
  • 保育士以外には研修を実施

参考:内閣府「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け」

事業内保育事業については、以下のサイトで詳しく紹介しています。

事業所内保育とは?事業所内に保育所を設置、運営するのに必要な知識まとめ

4.居宅訪問型保育事業

居宅訪問型保育事業とは、保育を必要とする子どもの自宅に保育者が出向いて保育を行う事業です。

障害や疾患などで個別のケアが必要な子どもや、施設が足りない地域で保育を維持する場合など、1対1での対応が原則です。

ベビーシッターに近い形態ですが、居宅訪問型保育は複数人で1週間を回すチーム体制です。ベビーシッターは個人のため、シッター側の都合でキャンセルが発生した際、利用者は他のシッターを探さなければなりません。

職員:子ども 職員資格
0~2歳児 1:1 必要な研修を終了し、保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者

出典:内閣府「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け」

地域型保育事業と連携施設の関係

地域型保育事業は、居宅訪問型保育事業を除き0~2歳児の年齢制限があるため、3歳以降も必要な保育が継続されるよう、卒園時の受け入れ先(連携施設)を確保しなくてはなりません。

保育施設(自社)と連携施設は、必ずしも1:1の関係である必要はなく、1:複数、複数:1、複数:複数も認められています。また、卒園後の進路は、最終的に保護者の希望を聴取の上確定します。

連携施設の支援例

連携施設は、卒園後の受け入れを担うだけの施設ではありません。連携協力により、以下のような支援も受けられます。

  • 給食の搬入
  • 嘱託医の支援
  • 合同保育
  • 行事参加
  • 園庭開放
  • 人材確保や保育へのアドバイス

参考:内閣府「地域型保育事業について」

連携施設の特例措置

地域によっては、連携施設が見つからないときもあるため、特例措置が定められています。

仙台市の事例を挙げると、小規模保育事業A型、B型、事業所内保育事業の地域枠に限り、満3歳を超えてもなお受け入れ先の確保が困難な場合、満4歳を迎える年度中までの期間延長が認められています。

参考:仙台市子供未来局環境整備課「3歳児利用に係る特例給付について」

地域型保育事業の流れ

地域型保育事業の認可申請から事業運営開始に至るまでの流れを簡単に紹介します。こちらはあくまで一例であり、各自治体に準拠する必要があるのでご注意ください。

流れ 概要
1.自治体の担当課へ事前相談 地域における保育サービスの需要の分析、将来推計を踏まえ、事業の必要性を判断します。認可申請の前に、地域型保育事業の概要について十分に相談し、施設整備の方向性を調整します。
2.事前協議書の提出 事前協議書(事業の概要書など)、設置予定地の敷地面積及び用途地域がわかるもの、その案内図、その他必要な書類を準備して提出します。
3.市町村長、関係課との事前協議 提出済の事前協議書をもとに、市町村長・関係課と事前協議を実施。
4.施設設備の補助金交付申請 自己資金ではなく、施設整備の補助金の活用を希望する場合は申請手続きを踏みます(通過者のみ補助金が申請)。
5.施設設備の入札・契約・着工 入札等に関しては、自治体の契約規則に準拠して実施します。※補助金の交付決定を受ける前に入札に着手した場合は、補助金の交付を受けられないので注意。
6.自治体の担当課へ認可書類の提出 設置認可申請書に各事業の必要書類を添えて担当課に提出。基準や関係法令等に適合しているか否かについて審査し、子ども・子育て会議などに意見聴取を行います(提出書類は30以上に及ぶ)。
7.現地確認 消防や保健所等に連絡を取り、工事竣工後に立ち入り検査を受けます。自治体の担当者が立ち会います。
8.設置認可 提出された設置認可申請書に対し、認可基準等や事業計画の内容、区域の利用定員の総数及び区域の必要利用定員の総数並びに子ども・子育て会議などの意見を勘案して、認可の適否を判断。
9.開所 認可後に申請事項に変更が生じた場合、自治体に変更届を提出する必要があります。

参考:地域型保育事業の認可ガイドブック

まとめ

地域型保育事業により、保育の受け入れ枠は確実に拡大傾向にあります。数字上ではあるものの、待機児童問題は解消に向かっており、今後も国や自治体は幼児教育や保育の無償化に注力していくと考えられます。潜在的な保育ニーズは高いままであり、保育事業への参入を検討しているなら、地域型保育事業を活用すべきです。

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