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  • 2022.01.18
  • コラム

家庭的保育事業とは?設置基準や運営のメリットについて解説

家庭的保育事業

家庭的保育事業とは、平成27年に施行された子ども・子育て支援新制度の地域型保育事業に含まれる事業のことです。認可事業のため補助金を交付できたり、保育者の居宅で保育サービスを提供できたりするなど、さまざまなメリットがあります。

ただ、まだあまり知られてない事業であり、どんな内容なのか詳しく知りたい人も多いと思います。この記事では、家庭的保育事業の経営に興味がある方に向けて、施設の特徴や設置基準について解説します。

家庭的保育事業とは?

「家庭的保育事業」とは、子ども・子育て支援新制度の中にある、地域型保育給付の対象となる自治体の認可事業のことです。

別名「保育ママ制度」とも呼ばれており、保育の対象となる子どもの年齢は0~2歳、保育者の居宅やマンションの一室などで保育サービスを提供します。居宅やマンションの一室といっても、認可事業なので自治体から補助金が交付されますし、園児の選考や振り分けも自治体が行います。

なぜこのような制度が生まれたかというと、待機児童解消や児童人口減少地域の保育基盤を維持するために、最も保育ニーズの高い0~2歳の保育施設を増やすためです。

家庭的保育事業は少人数の子供での運営としているため、細やかな保育を提供できるなど、クラス運営の認可保育園とは違った魅力があります。

ベビーシッターとの違い

保育士の違い

家庭的保育事業は、少人数を対象とした保育施設であることから、ベビーシッターとよく間違われます。主な違いは以下の通りです。

施設の種類 家庭的保育事業 ベビーシッター
働き方 個人事業主が多い 被雇用者が多い
保育する場所 保育者の自宅やマンションの一室 保護者の自宅や指定された場所
子どもの対象年齢 0~2歳 0~12歳
定員(保育者数) 3~5人(保育者1~2人) 1人(保育者1人)
園児募集 自治体が行う 経営者が行う
保育者の資格 家庭的保育者 必ずしも資格は必要ではない
事業形態 自治体の認可事業 認可外保育施設
補助金 無(自治体によっては有)

このように、運営形態や対象年齢に大きな違いがあります。

ベビーシッターは認可外保育施設に分類されるため、対象年齢が幅広く、保護者の自宅で保育できるなど自由度が高いです。

家庭的保育事業は認可事業のため、各種申告書類の作成や設置基準の遵守、自治体の審査や研修への参加義務など、多くの要件を満たさなければなりません。その分安心ではあるといえるかもしれません。

家庭的保育事業の設置基準

保育園の子ども

ここでは、厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を元に、家庭的保育事業を開業するときに必要な設置基準について解説します。

自治体によっては、国の基準より厳しい独自の基準を設けているケースもあるため、設置場所の窓口で詳細を確認するようにしてください。

対象年齢

家庭的保育事業の年齢は原則として0~2歳の子どもを対象としており、3歳になって初めての3月31日まで利用できます。

自治体によっては「生後57日目以上」「生後8ヵ月を過ぎてから」など、保育の開始時期に制限が設けられている場合があります。

なぜ低年齢児のみを対象にしているのかというと、全国の待機児童のうち、0~2歳児が全体の8割強を占めているからです。

国は保育の受け皿を確保するため、0~2歳を対象とした地域型保育事業の整備を進めています。

参考URL:厚生労働省「2020(令和2)年4月1日時点の待機児童数について」

地域型保育事業については、以下のページで詳しく紹介しています。

地域型保育事業とは?その意味・メリット・開始までの流れを紹介

連携施設

家庭的保育事業は、満3歳で卒園する子どもに適切な教育と保育の場を確保するため、認定こども園・幼稚園・認可保育所・ナーサリールーム・企業主導型保育施設のいずれかの施設と連携する必要があります。

連携施設は、家庭的保育事業に対して「保育内容の支援」「代替保育の提供」「卒園後の進級先の確保」などの支援を行います。

ただ、令和6年度まで努力義務とする経過措置期間が設けられており、周囲に保育施設が存在しない一部の自治体においては、無理に連携施設を確保しなくてもよいとされています。

参考URL:厚生労働省「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」

保育時間

保育時間は、1日8時間を原則としています。延長保育や土曜日の開所の有無、休日などは事業者側が保護者の状況を考慮して自由に設定できます。

家庭的保育事業は少人数で運営するため、事業者と保護者どちらにも負担が生じないよう、バランスをとることが大切です。

職員の資格

家庭的保育事業の職員は家庭的保育者、または家庭的保育補助者と定められています。

家庭的保育者とは、市町村長が行う研修を修了した保育士、または講義と保育実習による認定研修を修了し、保育士と同等以上の知識や技術を持っていると市町村に認められた人のことです。ちなみに、保育士の資格がある人が受講すると「家庭的保育者」、保育士の資格が無い人が受講すると「家庭的保育補助者」となります。

保育士の免許があったとしても、家庭的保育者の研修を修了していなければ、家庭的保育事業に従事できません。

職員の配置基準と子どもの人数

職員の配置基準は、0~2歳児3人に対して1人、家庭的保育補助者を置く場合は子ども5人に対して職員2人(家庭的保育事業+家庭的保育補助者)という基準になっています。

子どもの定員は原則として1~5人ですが、最少人数を3人以上と設定している自治体も多くあります。

設置場所と広さ

保育室の設置場所は、家庭的保育者の居宅や保育のために借りたマンションなどです。屋外遊びは、自宅の庭か近隣の公園などを活用します。

保育専用室の面積は最低でも9.9㎡(6畳)以上必要であり、定員が3名を超える場合は、子ども1人につき3.3㎡以上を追加で確保します。

このほか、トイレや手洗い場、火災報知器及び消火器などの設備を設ける必要があります。詳細は厚生労働省「児童福祉施設最低基準」に記載されています。

一般的な住宅で認可基準を満たすには、改装やリフォームが必要になる場合がほとんどです。自治体によっては整備費(改修工事など)に助成制度を設けているため、事前に問い合わせしてみましょう。

以下は横浜市の例です。

整備費の助成額 上限200万円(うち備品購入は65万円まで)
対象経費の事例
  • 冷暖房器具(クーラー、暖房器具、床暖房等)の設置
  • 幼児用トイレ、幼児用シンク、幼児用バス(沐浴槽)、調乳ユニットの設置
  • 玄関スロープ、玄関ベンチの設置
  • 屋外シャワー、日よけネットの設置
  • 庭の整備(人工芝、砂の入れ替え)
  • 畳替え、障子の張り替え、壁紙の張り替え
  • 参考URL:横浜市「令和2年4月1日開所家庭的保育事業募集要項」

    家庭的保育事業を運営するメリットとは?

    次に、家庭的保育事業を運営するメリットを3つ紹介します。

    1.認可事業の中でも利益率が高い

    家庭的保育事業は、私立認可保育園や他の地域型保育事業(小規模保育事業や事業所内保育事業)と比較して、利益率の高い事業です。

    以下は、厚生労働省「幼稚園・保育所等の経営実態調査(令和元年)」を一部抜粋したものです。167事業所の総計と、科目の構成比を表しています。

    科目 金額(単位:千円) 構成割合
    収益 保育事業収益 13,828
    児童福祉事業収益 1
    その他収益 80
    借入金利息補助金収入 6
    費用 人件費 7,383 53.4%
    事業費 1,916 13.8%
    事務費 1,924 13.9%
    その他の費用 378 2.7%
    支払利息 4 0.0%
    法人本部帰属経費 27 0.2%
    収益計:① 13,836 100.0%
    費用計:② 11,631 84.1%
    収支差:①-② 2,204 15.9%

    正確な利益率は算出されていませんが、収支差率は15.9%と、私立保育園全体の平均値である2.0%に比べて高くなっています。

    2.補助金の交付がある

    家庭的保育事業は、自治体の認可基準をクリアすると補助金を受け取ることができます。詳細は自治体によって異なりますが、以下は一例です。

    整備費
    • 保育所等整備交付金
    • 保育対策総合支援事業費補助金 など
    運営費
    • 子どもの人数、年齢、職員の数などによって決定
    • (計算式)給付費=公定価格-利用者負担額

    補助金については、以下のページで詳しく紹介しています。

    認可保育園がもらえる補助金とは?条件や金額の目安、申請方法を紹介

    3.保護者の満足度が高い

    家庭的保育事業は、保護者の満足度が高い傾向にあります。

    足立区の実施しているアンケートでは、90%以上の利用者が保育サービスに満足しているとの結果が出ています。

    なぜ保護者の満足度が高いかというと、家庭的保育事業には下記のようなメリットがあるからです。

    • 子どもの発達状況や性格、その日の体調等に応じてきめ細やかに対応
    • 安全に十分配慮された空間かつ、家庭に近い環境で保育できる
    • 異年齢保育のため、子どもたちが兄弟のような関係を築ける
    • 1対1に近い形態のため、保護者に対するサポートも手厚い

    0〜2歳は特に保育者の援助が必要な時期であるため、自分の子どもをできるだけアットホームな雰囲気の中で育てたいと考える保護者は多いです。

    少人数制に惹かれて、あえて家庭的保育事業を選ぶ保護者は増えています。

    4.人件費のコントロールがしやすい

    家庭的保育事業では職員の配置人数が1~2人と少なく、2人目は保育士資格のない家庭的保育補助者でも対応できるため、人件費のコントロールがしやすいです。

    シフトの兼ね合いで数名採用するとしても、1〜2人の配置人数なので相性や人間性などを吟味しやすく、採用段階で離職のリスクを軽減できるともいえるでしょう。

    まとめ

    家庭的保育事業は、アットホームな環境できめ細やかな保育サービスを提供できます。少人数制なので質を維持しやすく、保護者ニーズは今後も増え続けると考えられます。

    ただ、いざ開業しようと思っても、自治体の認可事業なので厳しい設置基準を遵守しなければなりません。

    スクルドアンドカンパニーは、家庭的保育事業をはじめとした地域事業型保育の開設サポート、コンサルティングを承っています。自治体との交渉や開設準備についてなど、お気軽にご相談ください。

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